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野ざらし日記

編緝出版×農藝全般「あらたま⦿農藝舎」主人・根津耕昌のblogです。

ことばとからだ――日本的メチエの源流

【日本語を読む】小林多喜二『蟹工船』

中華料理を食べに行った帰りの夜道で、車の追突事故に出くわした。 暗い交差点の真ん中で、避けきれずに鈍く鼻先を潰しあった二台の車が、あっけない音と煙を吐きだして動かなくなった。片方の車の運転手がドアを開けのろのろと往来を渡り、力なく歩道の隅に…

テクストとイメージ――江戸の読本にみるライトノベルの系譜

「読本(よみほん)」とは江戸時代に行われた文藝形式の一つで、その名の通り文章中心の読み物、とりわけ中国伝奇小説を下地に翻案、創意を凝らした物語の事をいう。戯作の名で纏められる江戸の出版物の代表格であり、絵草紙、絵本ともよばれた「草双紙(くさぞ…

小説「にごりえ」に見る過渡期の日本文語

言語は常に過渡期にある。過渡期の日本文語について考えてみようという本論の語り出しとしては身も蓋もない話ではあるが、現代においては忘れられがちな、忘れてはならない言語の本質と言えるだろう。 一葉樋口夏子が小説「にごりえ」を仕上げたのは明治28(…

野のすみれ La Pensée sauvage――「野生の思考」にみる和歌の本質

春の野にすみれ採みにと來し吾ぞ。野をなつかしみ一夜宿にける 〔萬葉集一四二四〕山部赤人 フランスの人類学者クロード・レヴィ=ストロース(Claude Lévi-Strauss, 1908-2009)教授のいわゆる〈野生の思考〉を念頭に萬葉集を通読すれば、それが「因果律の…

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