野ざらし日記

編緝出版×農藝全般「あらたま⦿農藝舎」主人・根津耕昌のblogです。

Homo rehabilis――旅する獣

 ヒトが本質的に「旅をする獣」であることは、その歴史と身体的特質が物語っている。長距離を移動しうる二本の足と、海をも越えて旅を続ける為の道具をつくり、山野の獣を屠り、木の実を拾い集め旅の糧とすることを可能にした器用な両の手。ヒトはいつでも深く根をはった大樹に憧れ、定住を夢見た。
 かつて古のヒトらが夢見た定住の暮らしは、今ではあたかも当たり前の事のようだが、ヒトが「旅する獣」である本質は変わっていない。危機を逃れ、樂土を夢見て旅することを自ら選び取った奇妙な動物である僕らが、かりそめの夢の中それを忘れてしまった時、悲劇は起こる。定住はいまだ叶わぬ遠い夢、なのではないだろうか。
 退屈な日常、という奇妙で病的な幻想の霧が晴れて、野生のからだを取り戻せば、何の事はない、世界は危険と希望ときどき絶望に充ちていて退屈する要素などどこにもない。初めから、終わりまで。「私の住んでいる場所は安全なはず」という感覚は、私は平凡、人生は退屈、そんな錯覚に支えられている。

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