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野ざらし日記

編緝出版×農藝全般「あらたま⦿農藝舎」主人・根津耕昌のblogです。

テクストとイメージ――江戸の読本にみるライトノベルの系譜

「読本(よみほん)」とは江戸時代に行われた文藝形式の一つで、その名の通り文章中心の読み物、とりわけ中国伝奇小説を下地に翻案、創意を凝らした物語の事をいう。戯作の名で纏められる江戸の出版物の代表格であり、絵草紙、絵本ともよばれた「草双紙(くさぞうし)」とは対照的なジャンルである。
 草双紙は視て愉しむ事を中心に据えた木版摺りの娯楽本で、絵師の原画を写した木版画の余白にひらがなの多い説明文をそえてあり、低年齢向けの出版物として始まった事から感覚的には現代の漫画に近い。絵師が文筆者を兼ねる事も少なくなく、その点も漫画に似ている。

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草双紙(黄表紙)『金々先生栄花夢(きんきんせんせいえいがのゆめ)』恋川春町(こいかわはるまち) 作画。安永4年(1775)刊。

 他方読本は当時の知識人層が古典的、舶来的蘊蓄をかたむけた衒学的著作に始まり、読み物としてより純度が高く且つ高価なものであったが、何より出版物であり、売るための娯楽性、話題性を版元が追求しただろう事もあって、後期読本は人気絵師の手による挿画を抜きには語りえない。

絵師と物書きの力学

 文化五年(1808)の出版とされる『斐陀匠物語(ひだのたくみものがたり)』(六樹園飯盛・著/葛飾北齋・画)を例にとれば、著者の六樹園飯盛、本名・石川雅望(いしかわまさもち, 1754-1830)は国学研究者、狂歌師として名をなしていたものの戯作者として人氣があったわけでもない為か、版元に請われてかどうか序文に自らこう記している。

かゝる書(ふみ)つくり出でんは、おとなげなくあいなき人まねこそとて、たびたび人のそゞのかしつれど、うけひかでやみにしを、此ごろ北齋のぬしふりはへとぶらひ来て、せちにすゝめ物せらるゝに云々

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テクストとイメージ――江戸の読本にみるライトノベルの系譜(一)|根津耕昌/Kousuke Nezu|note

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